とある介護福祉業界の上場企業の給与の考察とみなし残業の法的意義

はじめに

私が給与明細をみるときは、支給額そのものよりも、基本給とその他手当との割合を重要視している。
なぜならその割合をじっとみると、使用者が従業員をどのように扱っているか、その姿勢を垣間見ることができるからである。
これまでの経験を通して、基本給のウェイトが高い企業はわりと健全な社風であり、そうでない企業は法に触れるような指示を上司から言われる傾向にあった。
被雇用者として職に就く場合には、提示された給与の金額に惑わされず、各科目の割合を比較して検討してみていただければ、よい職選びの判断材料になると思う。

今回の記事

私が以前勤めたことのある企業の給与明細の各科目(基本給、手当など)の割合を円グラフにしたのでそれを見ていただきながら、どんな社風であったのかここに記録として残しておきたい。

画像 とある上場介護福祉業界の企業の給与割合

介護福祉業界に属する、とある上場企業の給与明細。各科目の金額を割合に直したもの。基本給の割合がそれ以外の手当を含めた合計額を下回っている。疑問がのこる給与体系であると判断してもいいかもしれない。

 

介護福祉業界に属する、上場企業のグループ会社に就職したときに支給されていた給与明細をもとに上図を作成した。

上の図をご覧いただきたい。基本給がそれ以外の手当額の合計額を下回っている。これは、賞与をできるだけ支給したくない姿勢の表れである。
この企業は賞与は前年1.0月/年しかなかった。であるから、年収に占める賞与額は期待できる額ではないと考えるべきである。

こんなみなし残業の使い方は適法?

次に着目すべきなのは、みなし残業である。
これが当該企業の曲者であった。

当該企業は、介護福祉事業を生業とする企業であり、事業所は全国に数限りなくある。
もちろん私は、そのなかの1カ所に所属してチームとして業務をこなすわけであるが、別の事業所に所属している私の知人に「みなし残業は何時間以上からか」と問い合わせたところ、あるものは20時間を超えてから、あるものは30時間を超えてから、またあるものは40時間を超えてから算入という、事業所ごとにばらばらの考え方であったのた。

そして、私が所属していたところは、毎週土曜日出勤を必要とし、通常業務をみなし残業時間に入れ込んで仕事を指示していた。
そしてさらに、私がその月のみなし残業時間が“余っている”という理由で、「夜7時からのサービスに入ってくれ」と所長から指示されたのだ。

みなし残業の定義

みなし残業には2つの種類がある。

  1. 事業所内労働のみなし残業:外回りをしている営業職に適応する
  2. 裁量労働制のみなし残業:研究者や士業のように、業務時間が仕事の進み具合に大きく依存している職に適応

今回私が所属していたのは介護福祉業界で、サービスは20分とか30分とか、一定時間内に完結するようにあらかじめ決められている。

そこで事業所は、みなし残業時間を目一杯つかってサービスをさせるというやり方を従業員におしつけてきたのである。

みなし残業の意義は、「本来残業をすることはよくないことである。勤務時間が長期にわたると身体的にも負担がかかり、雇用主も残業代を支払う必要が出てくる。しかし、業務の都合上あらかじめこれくらいの残業をすることが見込まれるのであれば、予め残業時間を設定し、その分の残業代を支払うから、なるべくその時間以内に業務を終えるようにしてほしい」というものであると私は解釈している。

それを、当該企業は悪用とまではいわないが、濫用しているようにしか私には思えなかった。

所長は「みなし残業、まだ〇〇君のは〇時間残っているよね。だからサービス行ってよ」という言い方であった。

上記、定義にあるようにみなし残業は、本来、営業職や研究者・士業に代表される、業務時間が正確にはわからない職種に適応される制度である。
それが、それ以外の職種に設定されている企業は、なんらかの含みがあると考えておいたほうがよい。

今後の就職活動における、失敗事例として私の経験がみなさんに活かすことができたら幸いである。

リンク

ベンナビ労働問題「​みなし残業(固定残業代制度)とは?メリットや違法性を解説」

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投稿者プロフィール

圓寂の元祖裏アキレス
This text discusses methods and perspectives on living authentically by avoiding irresponsible power structures. It aims to provide readers with an opportunity to reflect on their individual lives.

無責任な権力組織を回避して、自分らしく生きる方法や考え方を記しています。読者の皆様個々人の人生について、振り返っていただける時間を提供できれば幸いです。小学生時代は学級新聞係、高校生時代は図書委員の広報班長という経緯もあって、人生にとって有益なジャンルを新聞形式でお伝えできればと思っております。
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