諸葛亮が長沙の将軍魏延の頸を刎ねよと命じ、劉備が制止した。

魏延は、関羽と戦い敗れた黄忠を長沙太守韓玄が断罪しようと試みた矢先、憤慨し、韓玄を切った。

それを長年使えた主君に対する裏切り行為だとして諸葛亮は諫めた。

私は、魏延の行為は理解できるし、諸葛亮の処分もわかるが、乱世の時代、愚かな主君を見限ることは当然のことだと思う。

まして、韓玄が黄忠に下した内容は不遜であり、不義理な行為ともいえる。

それを魏延は実力で成敗し、義に厚いと言われる劉備に長沙を開け渡したのだ。

現在の日本の就業状況は、韓玄のような上司が往々にして社内にはびこり、左遷されず、いいご身分で安穏と口を糊している。

社会人になれば子供時代のように軽々しく喧嘩もできない。

それをいいことに、愚鈍な大人たちは、保身を第一行動原理に置き、部下たちを将棋の駒のように使い、捨て去る。

私は、魏延のふるまいに、全面的に賛同しているわけではないが、感じ入ることができる。

粉飾決済をしても上場廃止にならず、刑事訴訟にもなりかねない社会問題を引き起こした会社でも営業活動を続けることができるこの日本社会に、大きな歪みが潜んでいると思う。